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【学校って何だろう(苅谷剛彦著)|感想・書評】学歴社会と学校の関係とは?

【読書旅】学校って何だろう-学歴社会と学校の関係

苅谷剛彦さんが書いている『学校って何だろう』の感想・書評パートⅡです。

 

 

パートⅠでは、「どうして勉強するのか?」「どうして校則は守らないといけないのか?」の切口で『学校って何だろう』の感想・ぼくの考えをお話しました。

【読書旅】学校って何だろう
【学校って何だろう(苅谷剛彦著)|感想・書評】あなたの勉強する理由は何ですか?あなたにとって勉強する理由は何ですか?『学校って何だろう』には、4つほどの観点から勉強する理由を考察しています。この『学校って何だろう』を読んだ感想・書評を「勉強する理由」「校則を守る理由」についてお話しています。...

 

パートⅡでは、「学歴社会と学校」という切り口で『学校って何だろう』の感想や考えたことをお話します。

 

学歴社会と呼ばれる社会のあり方が、学校でのいろいろなできごとに影響を及ぼしているといわれます。なぜ学校ではいい成績をとらなければならないのか、試験の点数によってうれしくなったり、がっかりするのはどうしてか。

(中略)

こういうことのバックに学歴社会がある、という見方があります。
(苅谷剛彦『学校って何だろう』P.180)

 

「学歴社会だからいい大学に入れるために、勉強がんばりなさい」と言われたことがある人は少なくないかと思います。

学歴社会と学校のつながりは何でしょうか。

『学校って何だろう』目次

第❶章:どうして勉強するの?

第❷章:試験の秘密

第❸章:校則はなぜあるの?

第❹章:教科書って何だろう

第❺章:隠れたカリキュラム

第❻章:先生の世界

第❼章:生徒の世界

第❽章:学校と社会のつながり

 

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日本の学歴社会とは何か

まずは「学歴社会」が何かというと、辞典では以下のように定義されています。

社会的出自,本人の能力・業績・人格などに比べて学歴 (学校経歴) が職業,所得,社会的威信,社会的地位を決定する度合いの強い社会をいう。

高等教育機関が広く開放され,社会の多くの成員に学歴獲得の可能性が開かれており,かつ個人の社会的地位が身分や家柄によって決るのではないという点では能力主義 (メリットクラシー) の状態に近い。

しかし,出身学校歴という属身的な要素がまだ社会的配分基準として残っている点が,エリート的学校歴が社会の人材需要に応じない場合や,家庭の経済格差,学業成績の階層性などにより学歴の再生産性が強まる場合に非難の的にされる。

さらに日本のように入学試験が特に重要視されるという社会では,学校教育までがゆがめられていることがよく指摘される。

(引用元:コトバンク「学歴社会」)

つまり、学歴社会とは自身の能力とは関係なく、家柄や出身大学で職業・社会的地位・所得が決められる社会という意味合いです。

 

40歳の方でも転職の面接で出身大学のことを聞かれたとか…

 

また、学歴と給与の関係を表した図解がコチラ↓。

 

どこまでこの調査が正しいか確かめる方法はありませんが、

ある程度「学歴」と「給与」には関連性があるのではないかと考えられます。

学歴社会と学校の常識的な答え

苅谷氏は「学歴社会と学校の関係」に対する常識的な答えとして次のように述べています。

簡単にいえば、「いい成績→いい高校→いい大学→いい職業→いい生活」という関係が見込まれているのです。

もちろん、みんながみんな一番いい高校や大学を目指しているわけではないでしょう。それでも、ベストでなくても、少しでもいい(ベターな)学校に入れれば、少しでもいい(ベターな)将来につながる、という考えをもう人は少なくないでしょう。

問題は、それぞれの矢印でつながった関係が、どれくらい本当のことか。そして、学校のなかにいると、その関係がどのように見えてしまのか、ということです。

(引用元:苅谷剛彦『学校って何だろう』P.182)

 

ぼくもこの常識的な答えを学校で教わりました。

でも、どうしても納得できませんでした。

 

中学生の頃、貧困家庭に生まれ、塾にかようお金もなく、こんな状況で将来どうしたらいいんだ!と社会に訴えかけていました…

 

また、「いい生活」とはなにか。
お金があれば「いい生活」といえるのか?

高校生なりに進路を考えるとき、
この問について色々と自分の中で議論していました笑

 

あなたにとって「学歴社会と学校の関係」に対する答えは何ですか?

出身大学によって給料は本当に異なるのか?

岩村美智恵さんは「出身大学と給与」の関係について研究しています。

『学校って何だろう』で紹介されていた、この研究の結論は以下の通りです。

 

偏差値七〇くらいの大学(一橋や慶応の経済学部など)を出た場合には、毎年一〇%くらいの利子と同じぐらいの得をすることがわかりました。

それに対して、偏差値が六〇前後の大学だと、八〜九%くらいになるというのです。偏差値が一〇近く違う大学で、その差は一〜ニ%(つまり毎年約ニ〇〜四〇万円少なくなる)です。

(引用元:苅谷剛彦『学校って何だろう』P.189)

 

利子という言葉が出てくるのは研究のやり方の話ですが、

要するに偏差値10近く違う大学では毎年20〜40万円給与がことなるって話。

ぼくはあまり差がないんだな、という感想です。

 

大学卒業して、40年働くとしたら給料のトータルは

800〜1600万円の差があるってことになります。

この差をあなたはどう思いますか?

学歴ってあくまでも肩書にすぎないのでは?

ぼくは新卒で東京のITベンチャー企業に就職しました。

その企業には、東京大学・京都大学・早稲田大学・慶応大学などいわゆる「高学歴」といわれる人たちがゴロゴロいました。

その企業の人事の方は京大出身だったのですが、その人は

今までと違ってビジネスでは覚えたことをそのまますれば成果が出る訳じゃない。

教科書全部覚えるのは楽勝だったから成績はよかったけど、ビジネスはそれだけじゃできない。

東京の大手企業は、応募者数が多いから、学歴でまず面接するかどうか振り分けている。

でも、学歴ってそれくらいよ。大手企業入りたいなら話は別だけど。

といったことをおっしゃっていました。

また別の人は神奈川県のFラン(偏差値35以下)の大学出身でした。
その方は社内でナンバーワンのエンジニアでした。
つまり、給与は…想像にお任せします。

 

何が言いたいかというと、

「学歴」ってあくまでも肩書きでしかなく、その肩書がつかえる時もあればつかえない時もあるってこと。

それと、「いい大学出ればビジネスの世界で成功できる」というほど甘い世界じゃないよってこと。

 

これはぼくが教育学部を卒業してそのまま教師にならず、

ビジネスの世界に飛び込んで身をもって痛感したことです。

 

苅谷氏も少し違った角度から学歴という肩書について述べています。

高校だけで就職するか、それとも大学まで行くかどうか、さらにはどんな大学を卒業したのかによって、定年まで勤めたときの給料のトータルが違ってきたりします。

けれども、このような違いが、どの学校を卒業しているかという「肩書き」だけで決まっているとはかぎりません。

いい学校に入学できれば、それで自動的に将来が保証されるわけではないのです。

(引用元:苅谷剛彦『学校って何だろう』P.192)

 

また別の角度からは

 

いい会社に入ったからといって、自分の学歴を肩書きに楽に昇進できるかというと、そうではないのです。
竹内洋さんの研究によれば、東大や京大、早稲田、慶応などのいわゆる一流大学を卒業している人が大企業に就職した場合、大学を出てからニ〇年たった時点で、課長以上までに昇進できた人は四〇%くらいにとどまります。
(中略)
〇〇大学卒の肩書きだけで通用するほど、企業社会はなまやさしくありません。やはり、学歴に見合った「実力」が必要なのです。

(引用元:苅谷剛彦『学校って何だろう』P.192)

 

苅谷氏が言っているように、

日本は「あなたは何ができるの?」と能力が問われる

実力主義社会だとぼくは考えています。

 

大学に入学することもですが、会社に入ってからのことも考えると、今何を自分はすべきか、どのような進路・キャリアを歩むほうがいいかの考え方が変わるかもしれませんね。

【学校って何だろう|感想・書評】「学歴社会と学校の関係」まとめ

『学校って何だろう』から「学歴社会と学校の関係」について考えさせられる内容が盛りだくさんでした。

 

問い

一度、この問いについて5分ほどでもよいので考えてみてください。

あなたの中で社会と学校の関係への見え方が変わると思います。

  • 学校でよく言われている「いい成績→いい高校→いい大学→いい職業→いい生活」のシナリオは正しいのか?
  • いい大学を卒業すれば、ビジネスの世界でも成功するのか?
  • 学校は極端に「学歴社会」を生徒に伝えていないか?

 

『学校って何だろう』を読んだことで、
現場で行われている教育観を客観視することができました。

 

  • 高校生なら、「自分が毎日学校で行っている”当たり前”のことは本当に正しいのか」
  • 教育する立場にある人なら、「自分が子どもに教えていることは本当に正しいのか」

といった具合に色々と一歩踏みとどまって自身の考えを深められる本でした。

 

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